Re: 確認調査(試掘)の写真記録 ( No.1 ) |
- 日時: 2004/05/26 09:58
- 名前: 51
- 個人的な意見は後で書こうと思いますが、あくまで客観的に目的別にデジタル・アナログの特性を別件でメールに対する返答で昨日ちょうど書いていたので下記に転載します。
保存性に関して
「デジカメ」 オリジナルのデータ自体は全く劣化することがない。しかし、オリジナルデータのままではフォーマットの恒常性に保証がない(信頼性が全くない。つまり、そのデータを読み出しできるソフトが未来永劫どころかこの先10年あるか無いかさえわからない)。また、実績と信頼性の高いtifなどのビットマップ形式ファイルに変換すればよいが、変換の時点で画像の劣化・色調の変化が避けられない。もっとも大きい問題としてデータ保管メディアの安定性がある。データを納めるメディアはCDR・DVD・FD・HDなどがあるが、どれも信頼性が低く(それぞれについて詳しく説明は省略する)もし、データ消失していても外観では判断できない 「カラーポジフィルム」 オリジナルフィルムの色素は現像した時点から変色が始まる。この変色劣化は保管状態の温湿度に左右されやすく、通常の保管状態では約3年もすれば色調の変化が確認できる状態となる。 「モノクロネガフィルム」 モノクロフィルムが画像を記録する粒子は鉱物である銀のため、適切に処理されていれば通常の保管状態でも簡単に100年以上の画像保存が可能である。
以上のような観点から保存性に関してはモノクロフィルムでの記録がもっとも安定しており、勝るものはない。画像の劣化を目で確認できて劣化度合いによって保存のための処置を講じることが可能なカラーポジフィルムもデジカメよりは保存に向いている。画像記録保存の観点に関してはデジタルカメラでの撮影記録はもっとも適していないことが言える。
画質(詳細記録・工業的記録)に関して
「デジカメ」 デジカメの記録素子であるCCD(CMOS)等のセンサーに関しては日進月歩でその記録密度を上げている。現時点でのプロ機種スタンダードとなった600万画素のセンサーであれば単純に比較できないがおよそ銀塩写真の35mmカラーリバーサルISO100ほどに匹敵する。プロ用ワンショットタイプ最高解像度クラス(価格にして400万円台)2100万画素であればおよそ4×5ほどの解像度であるはず。また、記録素子の平面性は非常に高く、単に記録媒体の精度だけで言えばデジカメが俄然有利である。 「カラーポジフィルム」 カラーポジフィルムに関しては記録精度の点では近年安定的に横這いとなっている。言い換えればある程度の進化を遂げて最終形に近づいているともいえる。情報量はフィルムサイズによって様々であるが、フィルムサイズが大きければ単純に情報量は多いと言える。平面性に関してはフィルムベースの進化によって近年良化してはいるが、計測用途にはガラス圧板が必要になるほどそのままでは使用できない。 「モノクロフィルム」 モノクロフィルムの記録精度はカラーポジフィルムの様な大型ラボで安定処理ができる環境とは違い、現像処理によって大きく左右される問題点がある。しかし、安定した処理を行えばかなり多くの情報量を安価に引き出すことができる。平面性に関してはカラーポジフィルムと同じ事が言える。
以上のような観点から、記録画質・精度に関して言えば、デジタルカメラが俄然有利である。ただし、高精度のデジタルカメラの場合、通常のフィルムカメラ用レンズも使用できるが、レンズ自体の解像力が低いと精度を保つことができないので非常に高価なカメラに高価なレンズを揃えないと意味が無くなってしまう。
色調に関して
「デジカメ」 デジカメの色調記録方式はセンサーが感じた生の色調にシーンごとのアルゴリズムを加えて出力された色調を再現する方式がとられている。このためいかような色調も作り出すことができると言っても過言でないほど記録・再現まで色調管理が一貫しない。撮影時には必ずカラーチャートを写し込んだりグレーを画面に入れておくことが必要でこれがない場合、正確な色調を再現することは不可能に近くなる。 「カラーポジフィルム」 カラーポジフィルムの色調再現は大変シビアで色温度に大きく左右され、シーンごとの適正は低い。しかし、ベストな状態の光を与えることによって正確な再現は可能であり、安定した評価光源があれば比較的簡単に色調再現することができる。難点はエマルジョンによって色調にばらつきがあることやメーカー間格差が大きいことである。 「モノクロフィルム」 色調に関しては再現色調が単色階調なので余り関係はないが、感色性によって再現が大きく違ってくる。色彩記録保存の方法としてこの感色性を利用して3色分解露光をしたモノクロフィルムを保存しておけば現在考えられるもっとも長期安定色調保存が可能であるが、コストや技術の点から現実的ではない。
即時性に関して
「デジカメ」 言うに及ばず。即時性に関してはデジカメ有利が崩れることはない。その場で確認して情報を多くの端末と共有することや公開することなども簡単にできてしまう。まさにユビキタスである。 「カラーポジフィルム」 現実的にカラーポジフィルムを迅速性を目的に自家処理することは保存性や精度の点から不可能に近い。早くて一日遅くて約一週間は時間をおかないと撮影画像を確認できない。 「モノクロフィルム」 即時性に関しては自家処理を条件としてカラーポジフィルムより比較的優れているとも言える。自家処理は一定の訓練と決めごとを守れば安定条件で処理も可能である。
以上のようなことを総合すると、誰かが言っていた「記録・記憶・計測」をふまえた上でデジタルカメラと銀塩写真を使い分けることが重要である。
・写真記録の長期保存にはモノクロフィルムをはじめとする銀塩写真を使用してしかるべき ・記憶を助ける意味では即時性やメモ用途には一般用デジタルカメラでも十分 ・計測用にどうしても写真画像を使用しなければならないのであれば非常に高価なデジタルカメラが必要。
と、まあホントに書き殴りの文章で(私のパソコンの「かきなぐり」というフォルダに入れてある>汗)申し訳ないですが、雪さんの職場では本当に割り切った考え方で考えれば目的別に選択されている結果だと思います。その考え方に対する個人的な見解は後で書きますが、【目的別選択】という意味では決して間違っていないと思います。
ではこの辺で現場に行って来ます。
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Re: 確認調査(試掘)の写真記録は残 ( No.2 ) |
- 日時: 2004/05/26 13:14
- 名前: ちちうえ
- 記録媒体の保存性は置いといて、写真(画像)として記録(あったこと、なかったこと含めて)が無いと、非常に業務遂行上問題が生じると思います。確認調査の結果報告が永年保存ならそれと一体を成す写真も永年保存でしょ!だって業者と丁丁発止のやり取りするときゃ、図面じゃ弱いって!説得力が違います
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Re: 確認調査(試掘)の写真記録 ( No.3 ) |
- 日時: 2004/05/26 22:26
- 名前: とくめい
- 遺構があったことを記録するのが文化財調査なら遺構がなかったことを記録するのも文化財調査では。
記録の本質がかけているから捏造なんてことも起こっちゃったのではありませんでしたっけ?
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Re: 確認調査(試掘)の写真記録は残 ( No.4 ) |
- 日時: 2004/05/28 19:19
- 名前: Ponta
- 文化財有無取り扱い協議に対する試掘調査は,遺跡の有無を確認するのが第一の目的で,遺跡があればその広がりと遺跡の深さなどを確認するものと認識しています。
事業者が試掘にずっと立ち会えば別ですが,ちちうえの言われているように後日の協議用に写真は必要です。 で,うちの場合,良い悪いは別として試掘調査で撮影する写真ですが,公式的には35mmネガカラーだけです(メモ補助として私物のデジカメも使ってますが)。試掘直後に即日協議の場合,ネガカラープリントも間に合わないので,デジカメのインクジェット打ち出し(写真用紙・高精細)を使用する場合があります。 試掘結果報告には写真(カラープリント)を添付し,回答文書の起案につけます。起案は公式文書で,永久保存になります。カラーネガは年度毎の分布・試掘調査用のネガファイルに入れて,永久保存です。 有る無しの判断と,事業者との協議用にはネガカラーで,事足ります。が,画像の保存の問題となると50年先にはどうなっているか怪しい所です。
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追加 ( No.5 ) |
- 日時: 2004/05/28 19:26
- 名前: Ponta
- ↑デジカメ画像の方ですが,暫定的にPCのHD内に,試掘箇所別のフォルダを作り,そこへ放り込んでいます。同時ににバックアップとしてMOとCD-RWも作成しています。年度終了時に,正副2枚のCD-Rに焼いて,バックアップとHD上の画像は削除する予定です。
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Re: 確認調査(試掘)の写真記録は残 ( No.6 ) |
- 日時: 2004/12/31 02:33
- 名前: 雪兵衛門
- 大変ご無沙汰しております。
5月に質問を書き込んでから半年以上が経ち、まもなく今年も終わろうとしています。ここをご覧の皆様には、本当にご心配をお掛けしてしまい、申し訳ございませんでした。また、アドバイスをいただきました方々には、大変遅くなりましたが厚く御礼申し上げます。
正直なところ、知らないうちに問題が大きくなっていて少々面食らったのと、それからもうひとつ。あの時は、書き込んだ次の日には結論を出したいという職場内の勢いでした。ところが、ここで議論を始めてから急に、職場内ではまるでタブーのように、この話題には触れられなくなってしまいました。その結果、どう報告してよいか困惑してしまったのです。
仕事納めも過ぎ、どうやらこの件は変更なし、現状維持と思われます。
ご心配をいただいた皆様、本当にありがとうございました。各担当者(わたしも含めて)が本当に必要な情報が残せているかどうかという基本的な疑問はありますが、少なくとも方針は間違ってはいなかったということがわかったのは、有り難いことでした。
これからも、よろしくお願いいたします。
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