Re: 入射光式と反射光式の違い ( No.3 ) |
- 日時: 2004/06/07 23:49
- 名前: 井本
- ほとんどの単体露光計は入射光・反射光の兼用型です。
入射光測定はピンポン球を小さくしたような乳白色のアダプターを取り付けて測定します。このアダプターを取り付けると、露光計の受光部の直前で光が拡散されます。その結果、露光計に入った光の18%が受光部に届きます。 反射光測定では、乳白色のアダプターを使いません。従って露光計に入った光は100%受光部に届きます。 入射・反射の露光計での違いはそれだけです。
今(6/7)、写真の小部屋で18%グレーの書き込みでにぎやかになっています。この反射率18%のグレーが、一定の光線状態での白から黒までの濃淡をもつ被写体の中間の反射率です。この18%のグレーが露光計の基礎になっています。従ってこれを理解しないと、露光計の仕組みが理解できません。 もし18%のグレーについて、写真の小部屋の解説を読んでも分からない。あるいは、何で白から黒の中間が50%でなく、18%反射になるのかよく分からないという人は、 http://www.nikon.co.jp/main/jpn/photography/kumon/08j.htm#2.2 の解説を参考にしてみて下さい。 また露光についても分かりやすく解説されています。
この18%の反射を標準反射率、あるいは18%のグレーなどと呼ばれています。それを製品としたものが標準反射板、18%グレーカードと呼ばれています。 露光計は受光部に入った光から、フィルムに18%のグレーと同じ濃さに再現するような露光量を表示するようになっています。この場合のフィルムは、話がややこしくなるのでカラーリバーサルを想定して下さい。
反射光測定は、被写体から反射した光をカメラのレンズ側から被写体に向けて測定します。 この場合、白い被写体は強い反射光が受光部にあたるため、少ない露光となる絞りとシャッターの組み合わせを示します。 逆に黒い被写体では、弱い反射光が受光部にあたるため、多い露光となる絞りとシャッターの組み合わせを示します。 そしてその結果は、どちらの被写体とも同じ濃さの18%のグレーとして再現されます。もし同じ光線状態で、18%のグレーカードを被写体とした場合は、上記の白と黒の被写体の測定で示した二つの中間の露光量を示します。
入射光測定は、被写体に当たる光を測定します。その時、露光計は被写体の位置で、受光部をカメラのレンズ方向に向けます。 入射光測定では、乳白色のアダプターにより、露光計に入った光のうち18%だけが受光部に届きます。そのため、示した露光で撮影すると18%グレーカードが被写体であれば、示した露光量で18%グレーに再現されます。 この場合、白い被写体では、入射測定で18%グレーに再現される露光量では、露光が多いため白く再現されます。 逆に黒い被写体では、入射測定で18%グレーに再現される露光量では、露光が少ないため黒く再現されます。入射光測定は、被写体の明暗に関係なく一定の露光量を示し、被写体に当たる光の強弱が変化しない限り同じ露光量を示します。
すると、kanさんの研修時のメモか、実習時の測定の手順に誤りがあった可能性が高いと思います。入射光式で測って「グレーがグレー、黒が黒」であれば、正しい測定結果と思われます。問題は反射光式 で測ったら、「グレーが18%のグレー、黒も18%のグレー」になるのが本来の状態です。 「グレーが明るめ」とありますが、被写体に用いたグレーがどんな明るさのグレーであっても、あるいは黒であっても18%のグレーに再現されるはずです。Kanさんの反射光測定に結果は露光がオーバーという状態です。これは測定手順の誤りか、何かのエラーによるものです。 この誤りのある状態から、入射・反射の測定法を復習すると、訳分からない状態になります。 この原理を正しい状態で理解してから、どういう場合にどの測定法が適するかに進んで下さい。
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Re: 入射光式と反射光式の違い ( No.4 ) |
- 日時: 2004/06/08 09:09
- 名前: 中村一郎
- 露出計の仕組みとカード撮影の理論
できるだけわかりやすく理解できるようにしてみようと思います
入射光式露出計さんの気持ち:おいらここにどんだけ光が当たってるか計るだけだからここにおいてあるものが黒いか白いかなんてし〜らないっと。 反射光式露出計さんの気持ち:わたしはここにおいてあるものがどれだけ黒いか白いか計ってるだけだからここにどれだけ光が当たってるかなんて知らなくてよ。
ことば解説 光 光源から照射される光の量 計る この場合の「計る」はどちらの場合もフィルム上に18パーセント標準グレーを再現する値 黒いか白いか 黒いものはどれだけ過大(オーバー)に露光をかければフィルム上に18パーセント標準グレーとして再現できるかという値・白いものはどれだけ過小(アンダー)に露光をかければフィルム上に18パーセント標準グレーとして再現できるかという値
つまり、黒いカードと白いカードを入射光式露出計で測定した場合(正しくは黒いカードと白いカードが置かれている場所を測定した場合)、その値で撮影された被写体は18パーセント標準グレーより黒いものは黒く、白いものは白く再現される。 黒いカードと白いカードをそれぞれ反射光式露出計で測定した場合、黒いカードを測定すれば黒いカードは18パーセント標準グレーに、白いカードを測定すれば白いカードは18パーセント標準グレーに再現されます。もしもそこに18パーセント標準グレーのカードが置かれていて其れを測定したなら、入射光式露出計で測定した値と同じ値になるわけです。
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Re: 入射光式と反射光式の違い ( No.5 ) |
- 日時: 2004/06/09 13:07
- 名前: 中村一郎
- 遺構撮影で反射式露出計を使用する理由
前項で書きましたが、反射式露出計はわかりやすく言うと対象物が黒いか白いかを計る方式です。つまり対象物からの距離が離れてもきちんと受光部が対象物に向いていれば対象物の露出を計ることができるのです。 遺構撮影では櫓の上や離れた場所からの撮影が多く、実際に被写体(遺構)の上から入射光式露出計で光量を測ることが困難です。 よって、反射式露出計で計測するのです。
ただし、注意が必要です。 きちんと対象物に受光部を向けて空の明るさやよけいな光を手でフードを作って遮ってあげなければ空の明るさを拾って遺構自体はアンダーになってしまいます。
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Re: 入射光式と反射光式の違い ( No.6 ) |
- 日時: 2004/06/09 13:23
- 名前: 中村一郎
- 遺物撮影で入射式露出計を使用する理由
きちんと対象物だけを測定できるのであれば遺構撮影と同じく反射式露出計でもかまわないのですが、遺物撮影の場合多くは白バックの面積が全体の中で多くを占めてしまいます。遺構撮影のように空の明るさを遮るだけなら手でフードを作れば遮ることができますが、遺物撮影の白バックの明るさを遮ることは非常に困難です。
よって遺物撮影では入射光式露出計を使用して、対象物全体に当たっている光量(18パーセント標準グレーの物体が適正露光になる値)を測定して、被写体の遺物が標準グレーより黒いか白いか判断してオーバーアンダーの補正をかけるのです。
ここでも注意が必要で、補正の段階でかなり明るいと思っていても土師質の赤茶けた土器などはモノクロフィルム上で少しアンダー目になるのでモノクロの感色性も勘案しなければなりません。
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